2012年

6月

07日

講演を終えて感じた事

今回鹿島神宮の講演会に向けて、資料や原稿の整理をしていて気づいた事があります。

それは、巨木をめぐる現状の変化についてです。

 

私が巨木を撮り始めたきっかけのひとつに写真家としての使命を感じたからというものがあります。 

巨木の撮影を始め、巨木への思いが高まるにつれ、日本中の巨木に会いたい、

そして全ての巨木を撮影して、現時点での全国の巨木の姿を映像として残すことが

自分の写真家としての使命なのだと。ひそかに決意しました。

 

しかし、実際に撮影して回っていると困難の連続でした。

カーナビもインターネットもない時代に、地図を片手に妻と車で巨木をたずね回っても

地元の人も知らない、役場できいてもわからない、やっと探し当てても何年も前に枯れてしまっていた、

という悔しく残念な巨木に何度も会いました。

 

このまま人々の無関心が続けば、樹はどんどん枯れたり切られたりしてしまう。

樹を切る事は、その生きてきた100年200年という時間を考えれば一瞬のことです。

しかし、あとからその木の必要性を感じても失われた時間を取り戻すことは容易ではありません。

 

そういった思いを新聞に訴えたり、講演会などで訴えたり、そしてもちろん写真を通じて訴えたりしてきました。

(詳しくは プロフィール欄1992年 読売新聞 『日本の巨木は泣いている』参照 )

その当時の私の原稿には、無残に切られていく、枯れていく樹をなんとか少しでも救いたいという

がむしゃらな気持ちが表れていました。

 

そういった状況からかれこれ20年以上がたちます。

当時私が訴えていたことはだいぶ改善してきているように感じます。

巨木は地球全体の財産であり、地域や人間の手で守っていく必要があるものなのだ、

という考え方がだいぶ浸透してきているように思います。

 

もちろん、全ての人がそう感じているわけではなく、

先日もTV『噂の東京マガジン』で長野県飯田市の新庁舎建設をめぐり

樹齢200年の黒松を伐採するかどうかが話題になっていました。

http://www.tbs.co.jp/uwasa/genba/20120520.html

どうなるものかと気にしていましたが、

市議会で検討してみるという方向性になったようで

ひとまず、ほっとしました。

 

これからも巨木巡礼を続けていきます
これからも巨木巡礼を続けていきます

 

巨樹・巨木の所有者の80%近くは神社仏閣・個人です。

巨木は人や社会の手入れなくしては大きくはなれなかったのです。

どうぞ、皆さんも身近な巨木、有名な巨木を

実際にご覧になってみてください。

巨木たちは悠久の時間を過ごしたパワーを

皆さんに与えてくれるはずです。

そのパワーをいつまでももらえるように

皆さんも、巨木を愛し、大切にしてください。

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コメント: 2
  • #1

    島田洋治 (金曜日, 22 6月 2012 09:21)

    巨樹・巨木への心づかいに敬服します。
    飯田市の黒松騒動の顛末。
    残念ですが飯田市の黒松は本日(22日)の市議会で「切る」ことが決定されます。税金の無駄だそうです。
    「三界に家なし」切られる黒松の魂は、切ろうとする人、残そうとした人の心の中に生きることになるでしょう。
    今後のご活躍をお祈り申し上げます。合掌

  • #2

    渡辺 典博 (金曜日, 22 6月 2012 15:14)

    島田さん コメントありがとうございました。飯田市の黒松の件。残念な結果となりましたね・・・。これが税金の無駄ということであるならば、税金を使わない方法でなんとか残すことはできなかったのかと胸が痛みます。私にできることとして、在りし日の黒松の姿を撮影しに行こうと思います。

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